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美しさと美味しさ







スタッフにこんな質問をされた。




「その花って美味しいんですか?」




いや、特に美味しくはないよ・・と即答。





うちでは、沢山の花を使うが、

花それぞれにもちゃんと味はある。


ものによっては、とても香りがよくて、

味のあるものもある。


ソレを美味しいかどうか?は、

個人の味覚の問題。


概ね、美味しいとは言えない。


それが一般的な嗜好。




・・


自分の味覚が全てである・・というのは、

自分のフィールドにおいて正解。


そこを信じるほかない。


しかし、一般的な味覚もよく分かった上で料理しないと、

溝は深まるばかりだ。


料理とは、コミュニケーションでもあるので、

独りよがりなわけにはいかない。




・・




花が美味しいのか?


実は、そんなことはどーでもいい話だ。


これは、味覚の話ではなく、

美意識の問題だ。




美しい=美味しい・・という認識があるか?


或いは、美味しいものは、決まって美しいものである・・という料理観があるか?


もっと言うと、

美しいもの以外、作りたくない・・という美意識があるか?




その辺りの話だと思う。


・・


【美】とひとくちに言っても、


造形だけで美を表現したり、感じたりもするし、


色や線だけでも、美は表現される。


また、


無・・というのも、美である。


・・


この辺の話は、

長くなるし、話が反れるので、

置いておくが、


美しさと美味しさは、

密接に関係している。


これは、自論ではなく、事実だ。





勿論、ただキレイなだけの料理も沢山ある。


しかし、汚い料理で美味しいものなどない。


これは、断言できる。


汚いのは、素朴な盛付とは全然違う。


ごくごく素朴な田舎料理であろうが、

シンプルなザル蕎麦だろうが、

焼き鳥だろうが・・

美味しいものは、皆 美しい。


・・

自分の人生で、何度か

群を抜いて美しい料理を食べたことがある。


料理人であることも忘れ、

【食べるのが惜しい】・・とド素人のようなことを思ったりした。


本当に美しいものを見ると、

人は、感動する。


その感動は、間違えなく【美味しさ】と直結している。


よく分からないが・・

おそらく脳の何処かが関係しているのだろう。


自分の経験上、

本当に美しいものは、

2,3割増しで美味しさが上乗せされていると思う。


・・


勿論、その店は、全ての事が完璧に近いので、

そう感じたとも言える。


あまりに味のバランスが良すぎて、

あっという間に食べ終わってしまうし、

お腹がいっぱいでも、

次々と食べれてしまうのは、

はやり、美しさが十分に関係していると思う。




緊張感のある“美しさ”は、

人をそんな状態にさせる。


細部に生命が宿っていることが、

真の美しさを成り立たせているのだろう。





そう感じたのは、

大阪のhajimeさんの料理。




そして、

同じようなことを感じたのは、

パリの伸一の料理。


伸一の場合は、

純米大吟醸のような・・・

という例えが正しいかどうか分からないが、

雑味を極限まで削り落とし、

素材のもっともピュアでクリアな部分を贅沢にまで、

使用し、または、引き出し、

それをシンプルに表現しているので、

分からない人には、あまりに味がキレイすぎて、

スー・・っと流れてしまう。


でも、その本当の凄さに気づくと、逸明だな・・としみじみと思う。


彼の凄さは、そういったこと以外にも沢山あるが、

身内をあまりに賞賛するのも・・どうかと思うので、割愛する。







hajimeさんの料理は、

張り詰めるような緊張感が漂い、

他を寄せ付けない、圧倒的な【美意識】があり、

更に輪をかけて、様々な素材が複雑に絡み合っている・・・


・・にも関わらず、

全てがキレイに調和され、

一切の雑味なく、体の中に昇華される。(消化か・・)


大げさっぽいが、

これは事実だ。




・・


あまり、人の作品について触れることはしないが、

話しの流れ上・・

つい、語ってしまったが、


美しさは、イコール美味しさでもある・・という話がしたかっただけ。


【味】が【美しい】・・と書いて【美味しい】と読む。


花は、特別 美味しい素材ではないが、


特別な美味しさを可能にする素材である・・




と・・

そのスタッフに伝えたい。





なんてことは、わざわざ言わないけど・・・





 
エディブルフラワーにビジュアル以上の役割を期待した料理がある。
温かい出汁に湯引きした鱧が浸かっているのだが、添えてある花がベゴニアで、酸味を感じるのは梅肉の代わり。 
「専門料理7月号」に目黒のレストラン・ラッセ、村山太一さんの料理として掲載されている。
2度ほど食べる機会があったが、ユニークだと感じた。

Y | 2015/07/19 04:02
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