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解放

 

僕は、ただ自由になりたかった。

 

【自由】という言葉に惹かれ続けた・・・

 

そして、【自由とは一体何か】ということをずっと考えてもいた。

 

当時20歳ぐらいだったと思う。

 

 

 

抑圧された社会。

 

封建的な会社。

 

20歳の若者にとって、

 

反発心を抱く上で、これ以上ない環境だった。

 

もしかしたら、

 

当時の自分にとって、その【不自由さ】は、

 

幸せだったのかもしれない・・・

 

 


もし、仮に自由な環境であれば、

 

僕の中で【自由を手にしたい】という願望は、生まれなかっただろう・・・

 

 

 

僕は、会社を辞め、

 

社会から飛び出し、

 

そして、日本からも抜け出してしまった。

 

独りフランスに旅立った僕の中には、

 

解放感と同時に無気力で無力な自分がいた。

 

全ての抑圧から解放されたはずの僕には、何もなかった・・・

 

 

 

【自由って一体なんだろう・・・】

 

 

時が過ぎ、

 

僕は、シェフになった。

 

もう、上からの指示で料理を作ることはない。

 

僕は、僕の料理を作ればいい。

 

僕は、自由なのだから・・・。

 

 


そこでも、また抑圧が待っていた。

 

業界には、フランス料理とはこういうものである・・という

 

暗黙のルールや規範があった。

 

 


今にして思えば、それは幸せなことだったのかもしれない。

 

その枠から一歩はみ出すだけで、

 

異端と呼ばれる。


それは、批判でるあると同時に、

 

周りの料理人にとって脅威でもある。


僕の表現は、良くも悪くも噂になった。


僕の住む街は、閉鎖的だ。

 

そして、ほんの小さなコミュニティーで形成されている。


ちょっと変わったヤツが出てくれば、

 

アッという間に噂にしてくれる。

 

僕にとってソレは好都合だった。


批判されればされるほど燃えてくるし、

 

抑圧が強ければ強いほど、

 

そこからはみ出そうとする。


だけど、今の僕には戦う相手がいない・・・

 

社会にも受け入れられ、

 

会社は僕のもの。

 

この業界でも、そこそこ名前が売れた。

 

もう、昔のように反発する相手がいなくなった。

 

 


業界では今、何をしたところで世界という枠組みの中では、

 

平凡の域を出ない・・・

 

この街で個性的であろうとも、

 

世界のガストロノミーの中では、

 

取るに足らないことだ。

 


自由であることやエキセントリックなことは、

 

もはやスタンダードであるといってもいいぐらいに、

 

世界の食のシーンは、自由に溢れている。

 

そうなってくると逆に、

 

際立ったシンプルさや素朴なものの方が個性的にも見えたりする。

 

僕の求めていた【表現の自由】って、一体なんだったのだろうか?

 


【枠】というのは、大切なものだ。

 

そして【自由】というのは、

 

逆に表現をつまらないものにしてしまいがちだ・・・

 


【自由】は時に

 

解釈の過程で、

 

【デタラメ】にもするし、

 

【なんでもあり】にしてしまう・・・。

 


デタラメやなんでもあり・・は、ルールの枠に収まっていない。

 

格闘技の世界で【この試合のルールはなんでもありです・・】とかいったりするが、

 

なんでもあり・・は、ルールじゃない・・。

 

ルール違反すらルールです・・という解釈がめちゃくちゃだ。

 

そういう類のものには、品がない。

 

そして【面白味】がない・・・。


ルールや枠があるからこそ、

 

【際立つ】表現がある。


僕の持ち味を考えても、

 

今の【なんでもあり】の世界は、

 

非常に【生かされない】

 

自由があまりに飛躍していくと、

 

【解放】は解放ではなくなるし、

 

表現の爆発力は半減する一方だ。

 


【解き放たれたい・・・】


表現者にとって、

 

そのエネルギーが表現に爆発力を生み出し、

 

光と輝きを与える。

 


僕が待ち望んだ【自由の世界】は、

 

手にしてみると、

 

【何もない世界】だった。

 


まるで、20歳のころに感じた

 

あの空虚な気持ちと重なるように・・・

 

 

 

 

 

 

 

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