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そして、単純化へ
あらゆる物事は、秩序から無秩序へ向かう。

そして、物事は単純な構造から複雑なものへと進化していく。

しかし、それはあくまで過程であって、
全てのエネルギーは、やがて【無】へと向かっていくものだ。
原始的な構造から多様化へと向かい、

多様化が飽和状態になると、

今度は、シンプルな方向に向かっていくのが、

物事の一般的な流れだと自分は思う。
ただ言えるのは、

初期段階の単純な構造が作りだす【シンプルさ】と

多様化を経て、最終的にたどり着く【シンプルさ】は、

見た目は同じシンプルでも、

内包している密度が違う。
思うに、この先の料理を考えたとき、

40年前に【より簡素に、より軽く】と謳われたムーヴメントと

多様化を経てこれから向かうシンプルな料理とでは、

大きな違いがあることに間違いはない。

まさに、それが【洗練】なのではないだろうか。
時代の波に洗われ、練られ、

時間に耐えられないものは、どんどん削ぎ落され、
 
最終的に残ったものがこれからの料理のような気がする。
・・

今は、次に向かう【単純化】への序章だ。
キュイッソンの精度を競い合う時代も終わったし、

マニアックな土着食材をクリエイションする時代にも限界にきた。

複雑すぎる料理、スタッフを多数必要とする料理、

本当は美味しくないがコンセプトありきの珍しい料理、

ビジュアルやパフォーマンスが先行された料理、

これらの料理に食べる側もそろそろ疲れ、飽きてもくる。

そして、何より先端を足り続ける料理人自身が、

飽きて、疲れている。
じゃー次のトレンドは何処に向かうのか?

そうなると、先に述べたように、

飽和状態になったら、今度は単純化へと向かっていく。

これからの時代、何が新しいのかというと、

僕の感覚でいうと、

素朴な表情だけど、洗練された料理。
その素朴さというのは、色々な表現の仕方があると思うが、

例えれば、昔からあるテクニックのブラッシュアップだったり、

原始的な器具を用いたものであったり、

食べる側が何か懐かしさやホっとするような・・・

そんなニュアンスだろう。

それをどうやって【洗練】させるかが、大きなポイント。

もし、それがなければただの古臭いものでしかないし、

客と作り手がノスタルジーに酔っているだけだ・・。
世の中には、様々な【表現物】があるが、

本当に良いものは、全て共通していて、

古典的な方法論を踏んだとしても、

作品を創り出す為の【感性】は、今に生きる人のものでなくてはならない。
今に生きる人の感性で創り出すことが全てだと僕は思う。

【今に生きる人の感性】

このフレーズが意味するところが

最も重要ではないだろうか。

先に述べたのは、そこが違っていて、

昔の感性の人が、古臭い感性の人を相手に、

ただ、昔を懐かしむだけで完結しているように思う。

それをノスタルジーに酔っているだけ・・と自分は思うし、

それを良しとした時点で、表現者としては終わりだと思う。
・・
何かを洗練させるには、

濃い密度でその物事と向き合い続けないといけない。
見つめ続けることで、

余計なものが削られていく。

その視線に耐えれないものは、

結局、時代の流れにも耐えることができない。

最終的には、【味】という目には見えないものを

見続けている作業なので、

皿の表情から推測できる情報は、

どんどん少なくなっていき、

最終的に、今のスマホ全盛、sns全盛時代の

ビジュアルで何かしらの評価を下す時代は、

料理においては意味をなさなくなるだろうし、

見た目で判断できる人の感性はより限られてくるように思う。

分かり易く言うと、

見た目でも判断はできるけど、

その見た目から本質的な味や香りまで想像できる人というのは、

稀であるということだ。

見た目で判断が付かない料理が増えることは、

実際に行くまでは何も評価できない。

それは、ごくごく普通のことであり、

本質重視に戻るだけのことかもしれない。

・・

もっと未来はどうなるのか?

単純化を極めれば、それは【無】だ・・・

人類は、そのうち食べる快楽よりも

別の快楽を見つけ出したなら、

その時間を使って、

新しい快楽へと向かうだろう。

一日1回のサプリメントの補充に30秒。

たった30秒の作業で、一日に必要なエネルギーを摂取できる。

もし、そんな時代がきたら、

外食産業は終わる。

100億人時代は、もうすぐ訪れ、

世界食糧難になることは、

随分前から話題になっているが、

サプリで事足りるなら、

そんな心配も回避できる・・・

ただ、僕の希望とは異なる。

美味しい食事をすることでしか得られない幸福を

人類は、他のどの生物より、よく知っているはずだからだ。

【無】の時代が来ることに間違いはないが、

それは、1000年、1万年・・1億年・・先?

それを今、考える必要もない。
現在、多様性を極めている料理の世界に身を置いて感じていることを

率直に綴ってみたが、

今の時代もそう長くなく、

多様化のピークの先には、新しい【単純化】が生まれるだろう。

それは、昔のシンプルではなく、

今を生きる人の新しい感性によって作り出される【シンプルさ】である。

その【洗練】をいち早く提唱できたシェフが、

次世代のトップシェフになるだろう。

それは、誰かって??
言うね〜(笑
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